やまねこが生まれる前の猫さんたちの暮らしを、クラフト・エヴィング商會のクロネコさんがこっそり教えてくれた…😸❣️この本は地元の古書店さんの棚にひっそり隠れていました📕
中公文庫 「猫」
クラフト・エヴィング商會プレゼンツ 井伏鱒二、谷崎潤一郎 他 著
1955年 中央公論社より発行、2004年7月 クラフト・エヴィング商會の創作、デザインを加えて再編集し中央公論新社より発行
2009年11月25日中公文庫 初版発行
2011年7月30日 4刷発行
発行所 中央公論新社
猫でおなかいっぱいになるアンソロジー😸
大正から昭和20年代にかけてのエッセイ。11名の著者が身近に生息した猫たちに温かい目を向けている。文体(中には文語体も)や語彙(ルビがないと読めない😹)に時間の流れを遡る心地よさは猫たちのお蔭だ。
愛玩の対象ではなく、捕鼠の目的で飼われていた時代の猫には、暮らしの必需品としての地位があり、そこかしこから猫の鳴き声がする。
多くのエッセイには猫の出産に関する描写が見られ、そのもの凄さに驚かされる。
大佛次郎(おさらぎじろう)氏のお宅の猫は長生きで、ミミ(別名「隅の隠居」)は飼い始めて十五年めに果物のカゴの中で静かに天寿を全うする。また、癌のために11歳で旅立った雌猫は多産で、生涯に150匹の子を生んだそう(1年3回、1度に5匹、10年で150匹)…いやあ、お疲れさまにゃん🙀
…で、生まれた子猫ちゃんたちは一体どこへ行ったのか、大佛氏には疑問である。
猫のしっぽを羨望の眼差しで眺めるのは谷崎潤一郎氏で、しっぽは無用の長物であるという寺田寅彦氏に反論。しっぽがあれば、声を出すのが面倒な時にしっぽで応答できる、横着なような如才ないような複雑な気持が、その簡単な動作によっていとも巧みに示せる。訪客の相手をするのに飽きてきた時、受け答えに「想像の尻尾」を振っているというのが面白い。
民俗学者 柳田國男氏の各地に伝わる「猫の島」の話も興味深い。野良猫は中世から観察されており、和歌にも詠まれ、家の猫よりもずっと逞しくバッタやトカゲを食って生き延びたようだ。「猫の島」には犬は入れない。犬猫の仲は最悪らしい。
クラフト・エヴィング商會の装幀がステキ💓
クロネコちゃんがページのあちらこちらに隠れています🐈⬛。