はじめまして。
旅するやまねこ舎の棚主やまねこです。
2023.5.1 ローカルブックストアkitaに「旅するやまねこ舎」オープン😸✌️
なかよくしてね❣️
そんなわけで、旅する猫の本を読んでみた。
「旅猫リポート」
有川浩 著
2015年2月 単行本刊行
2017年2月15日 文庫版第1刷
発行所 講談社
銀色のワゴンのボンネットを寝場所にしていた野良猫のナナ(しっぽが7のカギ型)はサトルのうちの猫になる。三十歳を少し超えたサトルは、子どもの頃にナナにそっくりなハチという名の猫を飼っていたが、サトルを取り巻く大人の事情により別れなければならなかった。サトルは小学校の修学旅行中に両親を交通事故で亡くし、叔母(ノリコ)に引き取られたが、ハチは遠縁の人にもらわれていった。
ナナはヒトの言葉や気持ちを理解し、ヒトの言葉で自分の気持ちを表現する。(その点では、漱石先生の「吾輩は猫である」、大島弓子「綿の国星」など、数多ある人間目線の猫が主人(猫)公の系譜に繋がる。)
作中の出来事はヒトの言葉で語られるが、ナナの言葉も併記されている。
例えば、サトルが海でナナを抱っこする…
(サトル)「ほーらナナ、海だよ~。波が面白いね~」
(ナナ)面白い⁈面白いって何⁈この圧倒的なエネルギーを伴った大量の水の永久運動が面白いって、人間ってどんだけ能天気なの⁈人間はどうか知らないけど猫が巻き込まれたら死にますよ、普通に!
こんな掛け合いが笑える😸
ナナとサトルが共有した5年間はナナの人(猫)生に多くのの宝物を残したが、病魔に冒されたサトルは、ナナと最期まで旅を続ける。サトルはナナの引き取り先として子ども時代からの友人を訪ねる旅である。
折に触れて過去の悲しい出来事が回想され、サトルの不遇な子ども時代が明かされるが、サトルは物事を肯定的に捉えることで気丈に生きてきたのだなあ、と思わせられる。
ナナはそんなサトルに寄り添うが、サトルは不治の病により他界する。
サトルは旅立って行ったが、それは悲しいことじゃない。
ナナもやがてサトルのところへ…🐈⬛
この小説には、さまざまな「死」の場面がどうしようもない運命として描かれるが、感情的な心理描写が少なく、乗り越えるべき出来事として淡々としているのが救いかもしれない。
明後日、スリップを挟んで棚に置きます。見てくださいね~📚