5月3日より愛媛県松山市の愛媛県美術館で大規模な回顧展が開催されている大竹伸朗さん。
https://www.takeninagawa.com/ohtakeshinroten/
大竹さんが30年前の夏、モロッコを旅した時の日記を読んでみた。
2004年7月25日第1刷
2007年3月25日第3刷
発行所 集英社
本書は大竹さんが1993年7月12日から23日までモロッコを旅した時の日記。最終日の日記には、この11日間になんと約200枚のスケッチと約1000枚の写真を残した、とある。さすがアーティストは違うなあ😻❣️口絵にある色鉛筆画や水彩画を見ると、強い陽射しの南国を思い出す。ページのあちこちにはモノクロのスケッチもある。
実は私(自称、年季の入った旅ねこ)も、かつてモロッコを旅したことがある。それは1988年の終わりで、行程の半分くらいはアトラス山脈越えのバス旅行。雄大な自然に圧倒された。
観光客らしくマラケシュのジャマエルフナ広場の喧騒にも足を踏み入れ、写真を撮らせてお金を要求する商売に辟易したが、5年後に大竹さんが旅した時には一層エスカレートしていたよう。
観光客はカモ、とばかりにしつこく追い回されるから、広場を囲むビルの屋上に上り、高いビールを飲みつつ眼下を眺める…そこまでは追いかけてこないから。
本書は、1994年5月に求龍堂から発売された「カスバの男 大竹伸朗 モロッコ日記」を改題、文庫化。その際に銅版画作品が追加され、大変お買い得になっている。しかも、角田光代さんによる文庫版あとがきがまた素晴らしい。角田さんは旅のエッセイをたくさん書いているので旅好きであることは間違いないが、本書に触発されてモロッコ行きを敢行。なんと読み終えてすぐさまオープンチケットを買いに行き、その数週間後にミラノ経由でカサブランカに旅立ったそう。
大竹さんの文章を「まるで目と手がいっしょになったような文章…見ることと書くことのあいだに、よけいなものが一切介在していない。」と評する角田さん。彼女は旅に本書を持ってこなかったことを悔やんだが、そのことによって自分の目で見てモロッコを歩くことができてよかった、と書いている。
旅の時間はもう2度と繰り返されることはないが、絵や写真とともに、当時のことを懐かしく思い出す。
明日、スリップを挟んで棚に置きます。見てくださいね~📚