7月になりました。昨今の夏は豪雨と灼熱を繰り返す厳しい日々が続きます。コロナ感染予防もお忘れなきよう。ご自愛くださいませ。
昨日は大雨。♪遊びに行きたし傘はなし…昭和の末ごろの夏休みの記憶を辿りながら、こんな本を読んでみた。
「遊覧日記」
武田百合子 著
1987年4月20日 作品社より単行本刊行
1993年1月21日 文庫版第1刷
発行所 筑摩書房
本書は著者が夫、武田泰淳氏(1912~1976)を見送った後の遊覧の記。冒頭には、泰淳氏の実家である目黒のお寺で暮らしていた時代に生活をともにしたヤエちゃん(会津から出てきた女中さん)のように充実してあちこち遊覧できたら…とある。一人で、または二人で(連れは娘の花さん、文中ではHと表記)行きたい場所へ出かけて行った日記。出かけたところは、浅草、青山、代々木公園、上野、富士山麓、世田谷、京都など。
少し読んだだけで、百合子さんはタダモノではない、という気がしてくる。
どこへ行っても、自分なりの目線で、面白いものを見つけられる。目の付け所はユニークで百合子さんならではの探究心がなせるワザ。
同行したHさんが戸惑うような遠慮のなさも微笑ましく(…というより羨ましい。イマの言葉でいう「KY」かも⁈)天真爛漫に、出かけたところを思う存分楽しんでいる様子が目に浮かぶ。
私が一番気に入ったのは、「8 藪塚ヘビセンター」の章。
なんと❗️現存している‼️
著者は、東武線「準急あかぎ」に1時間ほど乗車。木造の藪塚駅前の案内板を見て、桑畑と麦畑の中の幅広い舗装道路をてくてく歩く。車も人もまばらな道。
かつて東武線の車内広告でみて「世界の蛇がいる」というのに惹かれ、いつか行ってみたいと思っていたのがこの日に実現した。
Hさんと一緒に「ジャパン・スネークセンター、日本蛇族学術研究所」を訪問すると、遠足に来ていた小学生や農家のご家族と遭遇。
この後、蛇ってこんなに素敵だったのか、と思わせる百合子さんの描写がしばらく続く。
農家のご家族が食堂で「まむし定食」でもとってみるか、というのが聞こえる。
この件を読み、ついつい、「まむしの蒲焼き」を食べてみたくなってくる。
百合子さんの文章は、よく「天衣無縫」と評されるが、読んでいる私からつまらないこだわりを払拭させ、無邪気な心を取り戻させてくれる。どんなところへ出かけても、こんなふうに遊覧できたら楽しさ100倍‼️
Hさん(武田花さん)が撮影したステキな蛇の写真にもまた魅せられる。
みなさまも、今年の夏休みはぜひココへ🐍❣️
読了したので、来週あたり棚に置きます。ぜひご覧くださいませ😸